ドローンを活かせる仕事と将来性、必要な準備を解説

近年、ドローンの技術革新と普及により、ドローンは多岐にわたる分野で活用されています。
空撮だけでなく、測量、点検、農業、物流、災害対応など、さまざまな業界でドローンが活躍の場を広げています。
この記事では、ドローンを活用した具体的な仕事内容、必要な資格、収入の目安、そしてこの分野で成功するための準備について詳しく解説します。
ドローンが活用される職種
ドローンの仕事には様々な種類があり、主に「ドローンパイロット」と「ドローンエンジニア」、そして「ドローン講師」の3つに大きく分けられます。
ドローンパイロットは実際にドローンを操縦し、空撮、測量、点検、農薬散布といった業務を行います。
ドローンエンジニアはドローンの機体や制御プログラムの開発・設計に携わり、ドローン講師はドローンの操縦技術や関連知識を教える役割を担っています。
これらの職種は、それぞれ異なる専門性が求められるため、自身の興味やスキルに合わせて選択することが可能です。
ドローンの活用範囲は広がり続けており、今後も新たな種類のドローンの仕事が生まれることが期待されます。
ここでは、ドローンを活用した業務を一覧で紹介させていただきます。
測量や点検の業務

測量や点検の業務は、ドローンの仕事の中でも特に需要が高まっている分野です。
測量では、ドローンを使って土地や建物の地形を測量し、空撮データやソフトウェア解析、3Dモデリングによって詳細なデータを作成します。
人間が立ち入りにくい場所や広範囲を短時間かつ低コストで測量できるため、建設業界や都市開発において注目を集めています。
点検業務では、インフラ設備(橋梁、送電線、鉄塔など)、工場、太陽光発電所、建物の外壁や屋根などの定期点検にドローンが活用されます。
特に高所作業や危険な場所での点検において、ドローンは人件費や足場設置のコスト削減、作業の安全性向上に大きく貢献します。
赤外線カメラなどの特殊な機材を搭載したドローンを使用することもあり、より精密な診断が可能です。
これらの活用事例からも、測量や点検におけるドローンの仕事は、今後も拡大が見込まれる重要な分野と言えるでしょう。
映像や写真の撮影

映像や写真の撮影は、ドローンの仕事の中でも広く知られている活用分野です。
ドローンを使用することで、従来の撮影方法では難しかったダイナミックなアングルや、広大な景色を上空から撮影することが可能になりました。
この仕事の内容は多岐にわたり、テレビ番組、映画、CM制作、YouTube動画などのプロモーションビデオから、結婚式やイベントの記録、観光地のPR、報道分野での活用まで様々です。
ドローン空撮では、単にドローンを飛ばすだけでなく、顧客の要望に応じた構図やアングルを考え、高品質な映像や写真を撮影するスキルが求められます。
また、撮影した素材を魅力的な作品に仕上げるための動画編集スキルも重要です。
近年では、コンサートの配信やスポーツの試合中継などでもドローンを使った空撮が一般的になっており、今後もこの分野でのドローンの仕事は拡大していくと予想されます。
ただし、空撮は高い操縦スキルだけでなく、現場での柔軟な対応力も求められる仕事です。
農薬散布の作業

農薬散布の作業は、ドローンの農業分野における主要な活用事例の一つです。
広大な農地に人力で農薬を散布する作業は時間と手間がかかりますが、ドローンを活用することで、効率を向上させることができます。
セスナやヘリコプターを使用するよりも低コストで実施できるため、コスト削減にも繋がると期待されています。
農薬の散布だけでなく、肥料の散布や種まきにもドローンが活用可能です。
このドローンの仕事では、決められたルートを正確に飛行させるための操縦技術が要求されます。
日本の農業は、少子高齢化や後継者不足といった課題を抱えており、スマート農業の推進は喫緊の課題となっています。
その中でドローンは、時間やコスト削減に貢献する有効な手段として普及が進んでいます。
特に地方では需要が高く、季節に左右される側面はありますが、今後も農業におけるドローンの活用は拡大していくと予想されています。
講師やインストラクター

講師やインストラクターも、ドローンの仕事として注目されている職種です。
ドローンに関する知識や操縦スキル、実績を積み重ねることで、ドローンスクールなどで後進の育成に携わることができます。
ドローン講師の仕事内容は、主にドローンの操縦方法を教える実技指導と、航空法や各種手続きなどの基礎知識を教える座学の2つです。
その他にも、機体のメンテナンス方法、撮影技術、編集技術など、教えられる内容は多岐にわたります。
個人でレッスンを開くことも可能ですが、多くはドローンスクールの講師として活躍します。
2022年12月から国家資格制度が導入されたことで、ドローンスクールの講師の需要も増加傾向にあり、民間資格も引き続きニーズの高い資格として認識されています。
講師として認められるには、確かな実力とカリキュラムを整えるなどの準備が必要ですが、ドローン市場の成長に伴い、今後も需要が高まることが期待されるドローンの仕事です。
ドローンの製造や開発

ドローンの製造や開発は、ドローンの仕事の中でも技術的な専門性が高く、将来性が期待される分野です。
この職種は「ドローンエンジニア」とも呼ばれ、ドローンの機体設計、部品の選定、制御プログラムの開発、実装、検証、さらにはカスタマイズまで幅広い内容を担当します。
機体開発には、航空工学や電子工学の専門知識が不可欠であり、制御プログラムの開発にはプログラミング言語に関する高度な知識が求められます。
具体的には、飛行制御システムの設計、センサーデータの解析、バッテリーマネジメントシステムの開発などが含まれます。
また、ドローンを特定の用途に特化させるためのカスタマイズや、AIや自動航行技術との連携も、ドローンエンジニアの重要な仕事内容です。
現在、ドローンエンジニアは不足しており、ドローンビジネスの拡大に伴い、その需要はさらに増えると考えられています。
特に、ドローンのカスタマイズのニーズは、ドローンの普及と共に増加していくでしょう。
ドローン業界へのベンチャー企業の参入も活発であり、優秀なエンジニアは好条件での採用が見込める可能性があります。
ハードルの高い職業ではありますが、その分、今後の市場拡大と共に大きく活躍できる可能性を秘めたドローンの仕事と言えるでしょう。
ドローン関連の仕事の将来性
ドローン関連の仕事は、非常に高い将来性があると言えます。
ドローン市場は急速に拡大しており、インプレス総合研究所の調査によると、2024年度には市場規模が4371億円に達し、2030年度には約3倍の1兆195に達する見込みです。
この市場拡大に伴い、ドローンの仕事も増加することが期待されています。
特に2022年12月の航空法改正により、有人地帯での補助者なし・目視外飛行(レベル4飛行)が可能になったことは、ドローン活用の大きな転換点となりました。
これにより、物流や警備、テレビ中継など、これまで困難だった分野でのドローン活用が現実味を帯び、ドローンパイロットの需要も増加すると考えられています。
国も「空の産業革命に向けたロードマップ2022」を発表し、ドローンの活用を強力に推進しており、経済産業省もドローン関連予算を増やすなど、国の後押しも大きいです。
新たな技術やサービスが登場するにつれて、ドローンの活躍の場は今後さらに広がっていくことが予想されます。
ドローン関連職種の収入目安
ドローン関連の仕事における収入は、職種や経験、スキルによって大きく異なります。
ドローンパイロット全体の平均年収は400万円前後とされていますが、職種によっては300万円から600万円ほどの幅があります。
高い操縦技術や専門的な知識、資格を持つことで、より高収入の案件を獲得できる可能性が高まります。
年収の目安について
ドローン関連の仕事における年収は、職種によって幅があります。
例えば、空撮パイロットの平均年収は約350万円~640万円とされています。
比較的参入しやすい分野ですが、高収入を目指すにはドローン操縦技術と撮影技術の専門的スキルを磨くことが重要です。
農業の年収は約60万円~500万円と大きく幅があり、これは季節や天候に大きく左右されるためです。
しかし、高齢化が進む農業分野ではドローン活用の増加が見込まれ、時間やコスト削減に繋がり、今後さらに普及するでしょう。
測量・点検の年収は、会社勤めの場合で約350万円~500万円程度が目安とされています。
この分野は土木や建設業界での需要が高く、高度なドローン操縦スキルが求められます。
ドローン講師の年収は、平均約300万円~600万円程度とされています。
ドローンスクールが増加しているため、講師の募集も増えており、ドローン市場が成長するほど需要が増える可能性があります。
ドローンエンジニアの年収は、月給で30万円~80万円、想定年収で360万円~960万円と、職種や経験によって非常に幅広いです。
特にドローンビジネスの拡大に伴い、需要が増加すると考えられています。
ドローンショーの年収は400万円~600万円程度と、他のドローン関連の仕事よりも高めの傾向があります。
これは、1回のショー開催費用が高額であるためです。
フリーランスとして活動する場合は、案件数や仕事の種類、自身の技術力によって収入が大きく変動します。
高い操縦技術や専門知識があれば高収入の案件も獲得できる可能性があるでしょう。
ドローン操縦士に求められる能力

ドローンの仕事で活躍するドローン操縦士には、単なるドローン操作のスキルだけでなく、多岐にわたる知識や資質が求められます。
この項目で述べる事項は点検・農業などの業態に関わらず、ドローンを操縦する者すべてに求められる資質です。
リスク管理や関係者との調整など、操縦士が行うことは実に多様ですので、技術の習得に努め、業務を円滑に進める道筋を考える必要があります。
操縦技術の習得
最も基本的なことは「操縦技術の習得」です。
ドローン操縦の仕事では、安全かつ効率的にドローンを飛ばす技術と、状況に応じた判断力が求められます。
操縦技術の習得は、ドローンの仕事を目指す上で最も基本的なステップであり、その後のキャリアを左右する重要な要素となります。
まずドローンの基本的な操作方法を理解することが必要です。
これには、離陸、着陸、ホバリング、前後左右への移動といった基本的な動きをマスターすることが含まれます。
練習を重ねることで、機体を安定させ、意図した通りに操作できるようになります。
次に、風の影響や障害物への対応など、様々な環境下での飛行練習が重要です。
屋外での飛行では、予期せぬ突風や電波干渉など、様々な要因が飛行に影響を与える可能性があります。
これらの状況下でも冷静に判断し、適切な操作ができるようになるためには、実践的な経験を積むことが不可欠です。
さらに、業務内容に応じた高度な操縦技術も求められます。
例えば、空撮では滑らかなカメラワークや狙ったアングルでの安定した飛行、測量では決められたルートを正確に飛行させながらデータを収集する能力が必要です。
産業用ドローンの中には、特定のタスクを自動で行うためのプログラミングが必要なものもあり、その操作方法も習得する必要があります。
風への影響や障害物への対応、業務内容に応じた高度な操縦技術は業務の中で身に着けるものですが、屋外の飛行場で練習する場合、風への対応力を習得することができます。
秋葉原ドローンスクールのカリキュラムは屋外での練習を前提としているため、風への対応力を早期に身に着けることができます。
屋外飛行場のレンタルも行っておりますので、屋外練習を行いたい方は是非説明会へお越しください。
安全な飛行のための法律知識
ドローンは航空法をはじめとする複数の法令によって運用が規制されており、これらのルールを遵守しなければ、業務停止や罰則、さらには損害賠償のリスクを伴うことがあります。
具体的な法律知識としては、航空法における飛行禁止区域や飛行方法、リモートIDの義務化、許可・承認が必要な飛行ケース(夜間飛行、目視外飛行、人または家屋の密集している地域での飛行など)について熟知している必要があります。
これらの規制に違反することなく安全に飛行させるためには、事前の飛行計画の策定や、国土交通省への適切な申請手続きが求められます。
ドローン技術や関連法規は日々進化しているため、常に新しい知識を吸収し、スキルを更新していく意欲が重要です。
総じて、「好奇心と学び続ける姿勢」が大事であると言えるでしょう。
整備とメンテナンスの知識
ドローンを安全に飛行させるためには、機体の日常点検や定期的なメンテナンスに関する知識が不可欠です。
ドローンは精密機器であり、飛行中に様々な負荷がかかるため、定期的な点検と適切なメンテナンスが欠かせません。
機体の異常を早期に発見し、適切な処置を施すことで、事故を未然に防ぐことができます。
日頃行うべきメンテナンスの具体的な内容は以下の通りです。
日常点検、定期メンテナンス
飛行前には、プロペラの状態、バッテリーの残量と劣化具合、機体やアーム部分の破損の有無、カメラやジンバルの動作確認など、基本的な項目をチェックするスキルが必要です。
基本項目の確認を毎回行うことで軽微な異常を早期に発見し、重大な事故につながる前に対応できます。
点検表を作成し、フライト前、フライト後の点検を毎回行うようにしましょう。
また、車の車検と同様、ドローンにも定期メンテナンスが必要となります。
メーカーが推奨する飛行時間や期間に応じた点検項目や、部品の交換時期などを把握しておく必要があります。
モーターやアーム、バッテリーなどの消耗品は定期的に交換することで機体の性能を維持し、トラブルを未然に防ぎます。
トラブルシューティングの知識とソフトウェアのアップデート
トラブルシューティングの知識も重要です。
飛行中に予期せぬ挙動を示した場合や、エラーメッセージが表示された際に、原因を特定し、適切な対処法を講じる能力が求められます。
簡単なトラブルであれば自身で解決できることで、業務の中断を最小限に抑え、効率的な作業に繋がります。
基本的なエラーへの対処方法は説明書に記載されています。
説明書の対処方法を実践してみて、それでも解決しない場合はメーカーのカスタマーサポートセンターへ連絡しましょう。
また、ソフトウェアのアップデートに関する知識も不可欠です。
ドローンの飛行制御ソフトウェアやファームウェアは、性能向上やバグ修正のために定期的に更新されます。
最新のソフトウェアにアップデートすることで機体の安定性や安全性を確保できますので、「アップデートが必要」という表示が出たらこまめにソフトウェアを更新するようにしましょう。
プログラミング能力
プログラミング能力は、現代のドローン操縦士にとって、単なるオプションではなく、業務の幅を広げ、効率を高める上でますます重要な資質となっています。
多くの場合、ドローンを飛ばして終わるのではなく、ドローンを飛ばして得た成果物、もといデータの分析が必要となります。
特に産業用ドローンの分野では、この分析のスキルが大きな強みとなります。
将来的には、AI(人工知能)や機械学習と連携したドローンの開発・運用が増えていくことが予想されます。
このような高度な技術を扱うためには、プログラミングの基礎知識が必須となるでしょう。
プログラミング能力を習得することで、ドローン操縦士は単なる操縦者にとどまらず、技術開発やデータ活用の分野にも貢献できる、より付加価値の高い人材となることができます。
プログラミングと言っても、エンジニアが組むような複雑なコードのみを指しているのではなく、「アプリケーションの設定」や「ソフトウェアの使い方」も含まれています。
アプリケーションやソフトウェアは説明書をじっくり読むことで使い方を習得できるので、自動飛行や解析などを将来的に行いたい方はまずは使い方を学びましょう。
操縦のみでなく、プログラミングもできれば就職活動の際の大きなPRポイントとなります。
プログラミングの技術としては以下のものが挙げられます。
自動航行プログラム
自動航行とは人間はドローンを操縦せず、あらかじめ設定したルートをドローンが自動で飛行する飛行方法です。
特定のルートを正確かつ繰り返し飛行させる必要がある業務において、事前に飛行経路をプログラミングすることで、手動操縦では難しい精度と効率を実現できます。
多くのドローンには、その機体に連動したアプリケーションが用意されています。
送信機とタブレットが一体となっている場合は送信機にあらかじめアプリケーションがインストールされている場合がほとんどです。
自動航行プログラムはアプリケーションから設定を行うので、アプリにおける自動航行プログラムの使用方法を学びましょう。
飛行経路、高さ、カメラアングルなどの自動航行プログラムをアプリ内で組み、自分がプログラムしたとおりにドローンが動くか検証しましょう。
実践を繰り返すことでアプリの扱いに慣れていきます。
データ解析と処理
次に、データ解析と処理です。
ドローンが収集する大量のデータ(画像、動画、センサーデータなど)を効率的に処理・解析するために、プログラミングスキルが役立つことがあります。
例えば、画像認識技術を用いて作物の生育状況を分析したり、構造物の劣化を自動で検出したりするシステムの開発に貢献できる可能性があります。
データ解析には専門のソフトウェアを使用します。
測量であれば「KUMIKI」、点検であれば「PIX4D」などです。
これらのソフトは高額で、個人で契約することが難しい場合が多いため、勤め先の企業で解析業務も行っている場合は研修等で使い方を習得していきましょう。
ドローンのカスタマイズや機能拡張
これはドローンエンジニアの仕事内容に関わるスキルです。
特定の業務に特化したドローンを開発する際や、既存のドローンに新たな機能を追加する際に、プログラミングの知識が不可欠となることがあります。
操縦士が基本的なプログラミング能力を持つことで、より専門的なニーズに対応できる人材となります。
コミュニケーション能力

ドローン操縦士の仕事において、コミュニケーション能力は操縦技術と同等、あるいはそれ以上に重要な資質となることがあります。
ドローンは単独で完結する業務ばかりではなく、多くの場合、チームの一員として、あるいはクライアントとの連携のもとで遂行されるためです。
コミュニケーション能力が求められる具体的な内容は以下の通りです。
まず、クライアントとの綿密な打ち合わせです。
空撮であれば、どのような映像を撮りたいのか、測量であればどのようなデータが必要なのか、クライアントの要望を正確に聞き出し、それをドローンで実現可能か判断し、最適な飛行計画を提案する能力が求められます。
不明確な点を解消し、期待値をすり合わせることで、後々のトラブルを防ぎ、満足度の高い成果物を提供できます。
次に、現場でのチームメンバーとの連携です。
特に大規模なプロジェクトや危険を伴う業務では、ドローン操縦士だけでなく、補助者、安全管理担当者、データ解析担当者など、複数のメンバーと協力して作業を進めます。
それぞれの役割を理解し、的確な指示を出し、円滑な情報共有を行うことで、安全かつ効率的な業務遂行が可能となります。
さらに、予期せぬトラブル発生時の対応です。
天候の急変、機体の不具合、第三者との接触など、飛行中には様々な問題が発生する可能性があります。
このような緊急時に、冷静に状況を報告し、関係者と連携して適切な対応を協議するコミュニケーション能力は、事故の拡大を防ぎ、迅速な解決に繋がります。
また、法規制や安全に関する説明責任も重要です。
ドローン飛行には航空法などの規制が伴うため、周囲の住民や関係者に対し、安全対策や飛行目的について分かりやすく説明する能力が求められることもあります。
ドローン操縦士は単に機体を操作するだけでなく、プロジェクト全体を円滑に進め、安全を確保し、最終的な成果物の品質を高めることが必要です。
一つの仕事にクライアント、チームメンバー、周辺を住人はじめとした第三者が関わるため、成果物を得る過程で関係者と密に連携を取りながら事故無く仕事を終えることが重要です。
総じて、「全体を見渡して仕事を円滑に進める能力」がドローン操縦士におけるコミュニケーション能力と言えるでしょう。
仕事内容に応じた必要スキルの違い
ドローンを仕事で活用する場合、単に操縦技術だけでなく、仕事内容に応じて求められるスキルが大きく異なります。
例えば、空撮のドローン操縦士には、飛行スキルに加え、構図や光の使い方などの撮影技術、そして撮影した映像を魅力的に仕上げるための動画編集技術が必須です。
色調補正やカット編集など、映像全体の演出力が作品の完成度を高めるため、マーケティング力も必要とされることがあります。
測量や点検の業務では、高度な操縦技術に加えて、測量に関する専門知識や、赤外線カメラのような特殊な機材を使用する点検の専門知識、さらには3Dデータ解析ソフトのスキルが求められます。
農業分野での農薬散布では、ドローンを正確なルートで飛行させる操縦技術はもちろん、農薬に関する知識や、作物の生育状況を判断する農業知識が必要となる場合があります。
広範囲を効率的に散布するためのプログラミング能力も役立つことがあります。
ドローンの製造や開発に携わるドローンエンジニアは、航空工学、電子工学、プログラミング言語といった専門的な知識が必要不可欠です。
ドローンの機体や制御プログラムを企画・開発・実装・検証するスキルが求められます。
講師やインストラクターとしてドローンの仕事をする場合は、高い操縦技術と専門知識に加え、それを他者に分かりやすく伝える教育スキルや、カリキュラム作成能力が求められます。
このように、ドローンの仕事は多岐にわたり、それぞれに特化したスキルセットが必要となります。
自身の興味や得意分野に合わせてスキルを磨くことで、より専門性の高いドローン関連の仕事に就くことが可能になり、将来性を高めることに繋がります。
ドローン操縦士になるまでの道のり

ドローン操縦士になるまでの道のりは、いくつかのステップに分けられます。
まず、ドローンの仕事に興味を持ったら、ドローンに関する基本的な知識と操縦スキルを習得することが最初のステップです。
これには、独学で学ぶ方法や、ドローンスクールに通う方法があります。
ドローンスクールでは、専門の講師から実践的な操縦技術や航空法などの知識を効率的に学ぶことができます。
次に、業務内容に応じて必要な資格の取得を検討します。
ドローンの操縦自体に必須の免許はありませんが、国家資格や民間資格を保有していることで、仕事の幅が広がり、就職活動においても有利に働きます。
特に、2022年12月から導入された国家資格「無人航空機操縦者技能証明」は、特定の飛行を行う際に重要となります。
これらの準備が整ったら、求人サイトやドローンスクールの就職サポートなどを活用して、ドローン関連の仕事を探すことになります。
未経験者向けの求人や、副業として始められる案件もあるため、自身の状況に合わせて挑戦することが可能です。
ドローン業界は成長途上であり、常に新しい技術や法制度が生まれているため、継続的に学び続ける姿勢も重要です。
操縦士になるためのプロセス

ドローン操縦士になるためのプロセスは、段階的にスキルと知識を習得していくことが重要です。
まず、ドローンに関する基本的な知識を身に付けることが第一歩です。
これには、機体の構造や種類、バッテリーの特性、気象条件が飛行に与える影響などに関する座学が含まれます。
次に、実際にドローンを操縦する技術を習得します。
これは、実機を用いた練習やシミュレーターを活用して行われます。
安定した離着陸、ホバリング、決められたルートでの飛行など、基本的な操縦から応用的な操作まで、段階的にスキルアップを目指します。
独学で練習することも可能ですが、ドローンスクールに通うことで、体系的なカリキュラムのもと、専門の講師から指導を受けることができます。
操縦技術の習得と並行して、ドローンに関連する法律や規制に関する知識も不可欠です。
航空法や小型無人機等飛行禁止法、電波法など、ドローンの飛行に関わる様々な法規を理解し、安全かつ合法的にドローンを運用するための知識を習得します。
さらに、自身の目指すドローンの仕事内容に応じて、必要な資格の取得を検討します。
例えば、測量や点検の仕事を目指すのであれば、測量士の資格や、赤外線カメラなどの特殊な機材に関する知識が求められます。
映像制作であれば、撮影技術や動画編集スキルも重要です。
これらのプロセスを経て、必要なスキルと知識、資格が揃えば、ドローン操縦士として様々な業界で活躍する道が開けます。
ドローン業界は常に進化しているため、継続的な学習とスキルアップの意識を持つことも、操縦士として成功するための重要な要素です。
ドローンに関する知識や技術は独学で習得することも可能ですが、ドローンスクールに通うことで短期間で習得することができます。
秋葉原ドローンスクールは屋外の練習場も完備しておりますので、風が吹く空間で実践的な操縦スキルを身に着けることもできます。
» 秋葉原ドローンスクールの強みはこちらからご覧ください。
ドローンを扱うために必要な資格
ドローンを仕事で扱うために、必ずしも特定の資格や免許が必須というわけではありません。
航空法や電波法などの各種法律、運行ルールに従えば、無資格でもドローンを飛行させることは可能です。
しかし、ドローン関連の仕事に就く際には、資格を保有していることで多くのメリットがあります。
資格は、ドローンの操縦スキルや知識が身についていることを証明し、仕事の受注に繋がりやすくなります。
また、特定の飛行を行う際に国土交通省への許可申請が簡略化されたり、国家資格の取得により第三者の上空を目視外で飛行できるようになったりするなど、仕事の幅が広がる可能性もあります。
資格には「民間資格」と「国家資格」の2種類があり、それぞれの特徴を解説します。
民間資格の概要
ドローンの民間資格は、民間企業が発行するライセンスです。
各民間企業が定めるドローン操縦のカリキュラムを修了し、試験に合格することで発行されます。
民間資格には様々な種類があり、代表的なものとして「DJICAMP認定資格」、「JUIDAドローン資格」、「日本ドローン協会(JDA)の資格」、「一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)の資格」などが挙げられます。
民間資格を保有していることで一定の操縦技術を有していることの証明となり、クライアントに対して操縦技術をアピールする際に有利に働くことがあります。
民間資格の取得は、操縦技術の証明だけでなく、国土交通省への飛行許可申請を簡略化できるというメリットもあります。
さらに、ドローンスクールで民間資格を取得している場合、国家資格の試験や講習の一部が免除されることがあります。
民間資格は20万円前後で取得できますが、2025年の12月以降に国土交通省への飛行許可申請を簡略化できる効力は無くなる点に注意が必要です。
国家資格の概要
ドローンの国家資格は、2022年12月の航空法改正によって導入された「無人航空機操縦者技能証明」を指し、一般的に「ドローン免許」とも呼ばれています。
この資格は国土交通省が発行するもので、ドローンの操縦者が安全に操作するための知識と技能を持っていることを証明します。
国家資格には「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」の2種類があり、それぞれ飛行許可される空域や条件の範囲が異なります。
一等資格は、より高度な飛行、例えば「レベル4飛行(有人地帯での補助者なし・目視外飛行)」が可能となり、物流や警備、テレビ中継など、これまで難しかった分野でのドローン活用が現実味を帯びてきました。
一方、二等資格は一等資格に比べて飛行可能な空域や条件が限定されますが、農薬散布、測量、点検、空撮など、多くのドローン業務において必要十分な能力をカバーしています。
国家資格の取得は、より高度な操縦技術を有していることの証明になる他、特定の飛行許可申請が不要になるなど、仕事の幅を広げる上で非常に有利に働きます。
国家資格の取得には、国土交通省認定の「登録講習機関」で講習を受け、実地試験と学科試験に合格するのが一般的です。
費用は二等で約15万円~40万円、一等で約50万円~80万円が相場とされており、独学での取得は困難を極めます。
しかし、ドローン関連の仕事を本格的に目指すのであれば、国家資格から取得することをおすすめします。
秋葉原ドローンスクールでは» 一等無人航空機操縦士、» 二等無人航空機操縦士ともに国家資格講習を開催しています。
国家資格の取得プロセスや試験の難易度など、詳しく知りたい方は無料説明会へお申し込みください。
特定のドローン使用時の資格要件
特定のドローンを使用する際には、その種類や業務内容に応じて追加の資格や知識が求められる場合があります。
例えば、測量業務でドローンを扱う場合は、国土地理院が認定する国家資格である測量士または測量士補の資格が必要となることがあります。
これらの資格を持つことで、空中写真の撮影や、撮影した写真の処理といった測量に関する幅広い業務に対応できるようになり、仕事の幅が広がります。
また、赤外線カメラなどの特殊な機材を搭載したドローンを用いてインフラ点検などを行う場合、単にドローンを操作するスキルだけでなく、点検対象に関する専門知識や、赤外線画像の解析スキルなども重要になります。
点検の内容によっては、法的に何らかの専門資格が必要となる可能性もあるため、事前に点検調査会社に確認することが推奨されます。
さらに、水中ドローンを用いた水質調査や水中構造物の点検を行う場合は、水中ドローンの操縦技術や、水中環境に関する知識、水中での撮影・データ収集のノウハウなどが求められます。
このように、ドローンの操作だけでなく、そのドローンが搭載する機材や、行われる業務内容に特化した知識や資格を習得することで、より専門性の高いドローンの仕事に就き、活躍の場を広げることが可能になります。
まとめ
ここまで、ドローン操縦士の仕事と求められる能力をまとめてきました。
ドローン操縦士は操縦のみを行うのではなく、法律への理解や周囲との連携をとれる能力が試される仕事です。
仕事としてドローン操縦士を場合、各業界において求められる知識についても研究し、就職活動の際には知識があること、資格を持っていることをセットでアピールできるとよいでしょう。
秋葉原ドローンスクールの説明会では基本的な法律の知識の解説から、資格の取得プロセスまでをご紹介しております。
屋内の飛行練習場もございますので、「ドローン操縦士という職業に興味がある方」や「まずはドローンを飛ばしてみたいという方」はぜひ秋葉原ドローンスクールの説明会にお越しください。
この記事を書いた人

講師・ドローンパイロット
上野
筆者プロフィール
2021年7月に前部署より秋葉原ドローンスクールの部署へ、
その後2021年8月よりJUIDA公認講師して活動中。
インドアなので夏の日差しにも、冬の寒さにも弱い。
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